2020年6月12日
10年近く前のことになるが、南西フランスを巡る旅で、ピレネー山脈の麓(近くの名の知れた町と言えば「ナルボンヌ」だが、さらに、そこから約30㎞離れた)決して交通の便が良いとは言えない「フォンジュンクースト村」にある、2010年、初めて3ツ星をとったレストラン「オーベルジュ・デュ・ヴユー・ピュイ / Auberge du Vieux Puits」を訪ねた。
シェフ“ジル・グーション”のスタートは、なんとフランス国鉄食堂の見習い。そして、とうとう3ツ星レストランのシェフに這い上がった。
最近では頻繁に耳にする地産地消の草分け的存在、この地ならではの食材を取り入れた優しい料理を出すのが特徴。
レストランの名前の由来は、入ってすぐ左手にある井戸。この井戸がガラス張りになって、底がみえるようになっている。
レストラン名「Auberge du Vieux Puits」は“古い井戸の旅籠”という意味なのだ。
なぜか3ツ星レストランは、遠く、辺鄙なところに多く、到着するまでに長い道のりになることが多い。
だから秘境のレストランになるわけであるが、ここもその一つ。
しかし、一度訪ねると、また再来を約束してしまうのは、どうしてだろうか?
初めての訪問から、すでに10年が過ぎようとしているが、この間3ツ星を維持しているのは、まさに偉業と言えよう。
たどり着くまでにどんなに時間がかかっても、期待がどんどん膨らんでも、それに応えてくれるだけのものを、必ず提供してくれる。
どうしても、そして何度でも足を運びたくなる料理がそこにあるからだ。
COVID-19 と共存して生活してなければいけないこれから、食スタイルも変わってくるかもしれない。
星の数に拘るのではなく、求める価値があればこそ、人はそこに足を運ぶことになる。
尚、このレストランは名前の通り、オーベルジュだから宿泊も可能だ。
8部屋と非常に限られた部屋数なので、特にディナーの場合はレストランの予約と同時に部屋も予約した方がよい。
但し、ここの部屋の予約がとれなくても300メートルほど離れた所に系列ホテルで
“LA MAISON DES CHEFS”(6部屋のみ)もある。
今回は、ランチの訪問であったが、次回は、時間をとってディナーもとってみたい。
– Travel Designer 沼能 功
オーベルジュ・デュ・ヴユー・ピュイ / Auberge du Vieux Puits の詳細はこちらから