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The Okura Tokyoヘリテージウイングで和の安らぎを

2025年7月18日

ヘリテージウイングで束の間の夏休み

 

 日本のホテル御三家といえばホテルオークラ、帝国ホテル、ホテルニューオータニです。しかし、東京が国際観光都市となるにつれ外資系ホテルが次々と建設され、最近はなんとなく日系ホテル全体として外資系に押されがちな印象もあるのではないでしょうか。私もそのように思い込んでいましたが、むしろ各ホテルは、リニューアルやリノベーションによって魅力を増しているようです。

 1962年に開業したホテルオークラも例外ではなく、コロナ禍直前の2019年9月にThe Okura Tokyoとして生まれ変わっています。このリニューアルを期に、オークラは高層棟の「プレステージタワー」と、日本の美のエッセンスを取り入れ、よりラグジュアリーさを追求した「ヘリテージウイング」の2ブランドを同じ立地で展開することとなりました。今回は、家族でヘリテージウイングに宿泊させていただきましたのでそのレポートを記していきたいと思います。

 

 

 まずヘリテージウイングは、ロビーからしてプレステージタワーと異なります。大倉集古館の向かいにあるプレステージタワーのロビーに向かって左手に、こぢんまりとしていながらとても趣のあるヘリテージウイング専用のロビーがあります。足を踏み入れると、和歌帖の料紙のような美しい壁面装飾が目に入り、和の香りを感じます。

 ヘリテージウイングのお部屋の特徴は、まず広いこと。すべてのお部屋が60平米以上となっていました。さらに、約3メートルの天井高のおかげで、実際の面積よりも広々として感じられます。テレビやジャクジー機能を備えたビューバスも天井が高く、ゆったり入浴することができます。おそらく、比較的背の高いインバウンドの観光客の方々ものびのびと過ごせるのではないでしょうか。ヘリテージウイングは17階までありますが、この天井の高さがなければもっと階数・部屋数を稼げたはずです。それでもそうせず、のびのびとした空間でゲストが過ごせることを優先した判断に、尊敬の念を抱きます。高層ではないので夜景を楽しむタイプのお部屋とはいえませんが、窓からの眺めには緑が多く、四季を感じることができます。

 ヘリテージウイングのお部屋はミニバーが無料。ホテルオリジナルのフルーツジュースに加え、ビール、コーラ、スポーツドリンクがあるのも夏には嬉しいところでした。また、コンプリメンタリーのミニスナックもありました。ミニバーの横には玉手箱があり、コンプリメンタリーの扇子、手ぬぐい、紙ふうせん、巾着袋が。日本の良さを感じられるおもてなしです。

 アメニティはバンフォード、スキンケアセットはTHREE、ドライヤーはダイソンと、流行を抑えたラインナップなのも嬉しいところです。バスタブのある空間とは別に、スチームサウナも備えられています。

 

 ヘリテージウイング宿泊者にはクラブラウンジへのアクセスが付与されています。このクラブラウンジとスパ・フィットネスはいずれもプレステージタワーにあるので、一度ロビーに降りて、棟を移動し、階を上がらなければなりません。が、少しお出かけ気分ででかけるのも楽しいかもしれません。ロビーを通れば、どちらの棟においてもスタッフの皆様が笑顔で挨拶してくださるというところにも、老舗の名にあぐらをかかないホテルのレベルの高さが伺えます。

 クラブラウンジのフードプレゼンテーションは一日で3回あり、8:00~11:00のモーニングライトミール、14:00~17:00のスイーツ&セイボリー、17:00~19:30のイブニングライトミールです。午後の2回についてはラインナップはそれほど変わらず、サンドイッチと冷菜、スイーツがメインでした。イブニングになると、ローラン・ペリエが追加されるなど、少しアルコールの種類が増えます。軽く歓談しながら乾杯するのにぴったりでした。

 スパ・フィットネスも充実しており、プールは25メートルの温水プールでジャクジーが併設されています。温浴施設には、湯船の他にしっかりしたドライサウナとスチームサウナがあり、リラクゼーションルームにタナカカツキ先生デザインラベルの「サ水」も備えられていて、本格的なサ活もできそうです。今回は、プレステージタワー26階のスパ・トリートメントも利用させていただきました。使用するアロマオイルを、広島産レモンを使ったもの、愛媛県産柚子を使ったもの、高知産生姜を使ったものから選ぶことができ、和の香りに癒やされる非常にレベルの高いボディトリートメントを受けることができました。

 

 

 

 朝食は、ビュッフェ/洋食/和食のレストラン、クラブラウンジ、インルームダイニングから選べますが、私は、ヘリテージウイング宿泊者限定の「ヌーヴェル・エポック」で洋食の朝食を摂ることにしました。フレンチレストランらしい品格のある瀟洒な店内からは、緑いっぱいの庭園を見渡すことができます。その名の通りのBeau Jardinコースでは、メインに名物のフレンチトーストかエッグベネディクトを選択することができます。非常に迷ってエッグベネディクトを選びましたが、せっかくなので両方少しずつ食べられるコースがあればいいのになと思われました。食後の口直しとしてプチフールかフルーツもあれば……というのは贅沢でしょうか。家族はビュッフェを選択し、特にトリュフ入りオムレツの満足度が高かったようです。

 虎ノ門は、都心各所へのアクセスは便利ながらも、当地そのものとしてはビジネスセンターとしての性格が強かったところですが、近年は虎ノ門ヒルズや麻布台ヒルズなどのショッピング・ダイニングスポットが増え、利便性も高まっています。東京の暑い夏においては、日中はヘリテージウイングで和の安らぎに包まれながらのんびり過ごし、夕方から夜にかけて近隣にお出かけというのも良いのではないでしょうか。