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日本文化探訪~名古屋の刀剣編~

2025年10月14日

尾張徳川家のお膝元で刀剣を鑑賞する

 

今回は、首都圏から一泊二日で行ける名古屋での日本刀剣鑑賞のモデルコースをご紹介します。

 

まずは新幹線で名古屋に向かった後、名鉄名古屋本線で熱田神宮へ。神宮前駅の目の前から東門に入れます。

熱田神宮は三種の神器の一つである「草薙神剣」を奉祀するお社であるため、古来より刀剣の奉納が連綿となされてきた経緯があり、国宝・重要文化財に指定された刀剣だけでも20口を所蔵しています。

宝物館と草薙館という資料館があり、特に草薙館はすべてが刀剣展示となっています。草薙館のみどころは、なんといっても姉川の戦いで活躍した真柄十郎左衛門父子が所用したと伝わる通称「真柄太刀」大太刀二口です。

「大太刀 銘末之青江(太郎太刀)」は全長303cm、刀身6kgと、全国でも他に類を見ない大きな太刀です。展示とは別に、レプリカを持つことでこの重さ、長さを実感できる体験コーナーもあり、必見です。草薙館のそばにはきしめんの名店、「宮きしめん」のテラスも。おいしいお出汁で一息つくのもいいかもしれません。

 

 

熱田神宮をあとにして、熱田神宮西駅から名城線で矢場町へ。出口から徒歩一分で2023年開業のホテル、TIAD,The Autograph Collectionに到着です。

こちらは、名古屋にはまだ数少ないモダンな新設外資系ホテル(マリオットグループ)となっており、松坂屋や栄の繁華街にも近くアクセス至便です。エディション東京のようなお洒落でこなれた雰囲気のホテルがお好きな方には特におすすめ。

フィットネスジムやプール、温浴施設も備えており、特に久屋大通からテレビ塔まで抜ける眺望の室内インフィニティプールは爽快感抜群です。ロビー階のレストラン「SHU HA RI」はカウンターのみの和食。シェフの手さばきを見ながら、モダンなエッセンスの加わった日本料理に舌鼓を打つのはいかがでしょうか。

 

 

ホテルに一旦荷物を預けたら徒歩(12分)またはタクシーで、栄の名古屋刀剣博物館へ。こちらは、東建コーポレーションによって設立された「刀剣ワールド財団」が運営する私設博物館なのですが、公立の博物館にまさるとも劣らない展示の量・質を誇り、国宝「短刀 銘 来国光(名物 有楽来国光) 」と重要文化財10口を所蔵しています。

中に入ると、マンションのような見た目、名古屋らしい派手な看板からは想像できない本気の展示が広がっています。ビギナーでも刀剣の鑑賞方法や基礎知識がよくわかるパネルのほか、陣羽織を羽織り模造刀を持って記念撮影できるフォトコーナー、ライブラリーコーナー、ビデオコーナーなどが完備されており、日本文化への興味が深められること間違いなしです。パネルで刀の姿、刃文、地鉄、あるいは刀派などの基礎知識を仕入れてから鑑賞を始めると、いっそう刀剣の奥深い世界を味わうことができるでしょう。

刀剣のみならず甲冑、火縄銃の所蔵量でも国内トップクラスと思われます。2024年開館とまだ日が浅いためか、館内も混雑がなく、ゆっくり見て回ることができます。

 

 

翌日はホテルからバスで40分前後、またはタクシー(2200円ほど)で徳川美術館へ。こちらは、公益財団法人徳川黎明会が運営する私立美術館で、源氏物語絵巻など国宝9件、刀剣だけでも700口をはじめとした尾張徳川家の多種多様な大名道具を受け継いでいます。刀剣そのものだけでなく、拵え(外装)や三所物(日本刀の外装に付けられる刀装具)の展示も豊富です。漆や蒔絵、技術の粋を尽くした日本の美をご覧ください。

 

 

時期により展示される刀剣は異なりますが、国宝「太刀 銘 長光 名物 津田遠江長光」、重要文化財「刀 銘 本作長義(略)」のほか、重要文化財「脇指 無銘 貞宗 名物 物吉貞宗」など必見の刀が揃っています。「物吉」の銘は、家康がこの脇指を帯びて出陣すると必ず勝利を得たことから、すべてにおいて縁起がよいということで付けられたものです。その姿を一目見れば、いいことがあるかも……?

徳川美術館には美しい日本庭園である徳川園が隣接しており、こちらをゆっくり散策するのもおすすめです。敷地内にはフレンチと和が融合したコースを提供する「ガーデンレストラン徳川園」もあり、優雅にお食事をいただくことができます。美術館敷地内には宝善亭という日本料理店もあり、企画展とのコラボ会席は必食です。

 

 

徳川美術館でゆったり過ごしたあとは、バス40分またはタクシー(2500円ほど)で名古屋駅へ。東京からも1時間半の尾張名古屋へ、刀剣を堪能できる一泊二日の旅に出かけてみてはいかがでしょうか。