logo

大人になった今こそ楽しめる 奈良・平城宮跡歴史公園(その2)

2021年6月25日

大人になった今こそ楽しめる 奈良・平城宮跡歴史公園(その2)

 

奈良時代の建造物を復元し、奈良を体感できる平城宮跡歴史公園の見どころのひとつが「第一次大極殿」。ここでは天皇の即位や外国使節との謁見など、国家の重要な儀式が行われたところです。当時の設計図や絵画などが残っていなかったので、わずかに残る文献や、法隆寺、薬師寺などの同時代の寺院建築を参考にしながら復元しています。

 

奈良 平城宮跡 第一次大極殿

 

中には天皇が着座する高御座が置かれています。漆塗りの立派な高御座で、奈良時代から漆塗にの技術があったのかと不思議に思ったところ、こちらについては大正天皇の高御座の実物大のイメージ模型でした。

天井にはかわいらしい蓮の花が描かれ、小壁には四神や十二支が採食されていて、その柔らかな色合いに穏やかな気持ちになります。

束の上には五行色に対応する、赤・青・黄・白・黒の5種の色玉を配した宝珠付き金具が配されています。中国自然哲学がここでもみられ、唐へのあこがれを感じました。

鴟尾や大棟中央飾りの模型も置かれているので、細部までじっくり見ることができます。外から眺めると小さく感じますが、実際のその大きさと細かな細工に驚きます。今のような道具のない1300年もの昔に、こんなに見事な飾りを作っていたその技術に感動しました。

 

奈良 平城宮跡 第一次大極殿 奈良 平城宮跡 第一次大極殿

奈良 平城宮跡 第一次大極殿 奈良 平城宮跡 第一次大極殿

 

現在、第一次大極殿南門の復原工事も進んでおり、来年3月に完成予定です。

 

奈良 平城宮跡 南門復原

 

 

広い平城宮跡の東側にある「東院庭園」は、日本庭園の礎と称されています。

飛鳥時代までは唐から伝わった直線的な池を有する庭園形式でしたが、平城宮では曲線の池が造られていました。複雑な形に汀線を持つ石を敷いた州浜敷の池は柔らかな雰囲気です。学んだ文化をアレンジする、まさに日本らしさの表れだと思いながら眺めていました。

 

奈良 平城宮跡 東院庭園 奈良 平城宮跡 東院庭園

 

入口となる西建物には、東院庭園の特徴や発掘状況の展示説明がされているので、資料をじっくり読んでから庭園散策をするのがおすすめです。

 

奈良 平城宮跡 東院庭園 奈良 平城宮跡 東院庭園

 

 

第一次大極殿や東院庭園と少し雰囲気が異なるのが「推定宮内省」です。シンプルな造りの建物が並ぶここ宮内省は、現在の宮内庁と同様に天皇家の身の回りに関わる業務を行う役所であったと考えられています。

建物の中には実際に使っていたであろうと思われるサイズの机やいすも置かれており、当時の役人の仕事の様子をイメージできます。

正殿のあった場所には礎石のみが残っており復原されていませんが、宮内省の建物ですから、きっと立派なものであったのだろうなと思いながら後にしました。

 

奈良 平城宮跡 推定宮内省 奈良 平城宮跡 推定宮内省

奈良 平城宮跡 推定宮内省 奈良 平城宮跡 推定宮内省

 

 

推定宮内省のすぐ近くに「遺構展示館」があります。

ここの見どころは何といっても遺構露出展示です。奈良時代の建物の柱穴を展示しており、その重なりから何度も建て替えをしていたことがわかります。

また、役所に関して出土した遺物の展示もされており、書類として使われていた木簡や硯や筆も見ることができます。さらに、内裏で使われていた直径1.7メートルもの杉をくりぬいて作った井戸枠も。平城宮跡のエリアは地下水が豊富であったため、乾燥したり腐ることもなくそのままの形で残っていたそうです。まさに奇跡です。

 

平城宮跡歴史公園はとても広く、見所も多いので一日かけてじっくりまわるのもおすすめです。ここで奈良時代の歴史や建造物、人々の暮らしに触れてから奈良観光へ行くと、より理解が深まるように思いました。

現在、この平城宮跡歴史公園を舞台にして、楽しみながら奈良時代の歴史を学ぶツアーの企画をしています。親子参加のツアーですが、子どもだけでなく大人も楽しめるツアーになりそうです。公園内を電車が走っている様子も楽しんでもらえそうです!

 

奈良 平城宮跡 近鉄列車