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奈良の古代寺院めぐり

2021年7月16日

奈良の古代寺院めぐり

 

子ども向けの学びのツアー「親子で学ぶ奈良時代 木簡ってなぁに?」の企画のために何度か奈良に訪れる際、時間のとれるときは奈良市内の古代寺院を訪れました。「親子で学ぶ奈良時代 木簡ってなぁに」のツアーは平城宮跡歴史公園が舞台となりますが、ここでは平城宮だけでなく、平城京全体に関わる資料展示もあり、東大寺、薬師寺、唐招提寺といった古代寺院の紹介も出てきます。自然と他の古代寺院にも興味がわきました。

 

■唐招提寺

奈良 唐招提寺 奈良 唐招提寺

 

鑑真和上が開いた寺として日本史の教科書に出てきました。鑑真は5回の渡航失敗と失明を乗り越えて、日本に仏教の教えを正しく広めるために、苦難の末、中国から来た唐の高僧です。

この知識はありましたが、今回訪れたのは、平城宮跡歴史公園に復原された第一次大極殿の鴟尾が唐招提寺などを参考にしていることを知ったためです。平城宮の大極殿に鴟尾があったことは間違いないのですが発掘されていなく、設計図のようなものや、描かれた絵画も見つかっていないため、同じ時代に建てられて当時の鴟尾が残っている唐招提寺を参考にしたそうです。

今回奈良へ通うようになるまでは、鴟尾(しび)という言葉も、その存在も知りませんでした。鴟尾とは宮殿や寺院などの大棟の両端に設置される装飾瓦のことで、飛鳥・奈良時代の寺院に使用されていたそうです。火除けのまじないの意味もあったようです。

鴟尾と同様に風鐸も見事でした。

 

奈良 唐招提寺 奈良 唐招提寺

 

気になってみるようになると、確かに奈良の寺院には鴟尾を見つけます。

さらに「瓦」が気なってくると、鬼瓦に目が止まります。鬼瓦はもともと瓦葺の屋根の端などに雨などが入り込まないように設置される、装飾性のある瓦を言い、その形は鬼とは限らないそうです。平城宮の造営に際して、鬼神の鬼瓦が造られたそうで、この後続く鬼瓦の基礎ともいえます。唐招提寺でも様々な鬼瓦を見つけました。鬼の顔の形も時代によって変化があり、型によっても変わってくるそうです。本当に奥が深い。

 

奈良 唐招提寺 奈良 唐招提寺

 

唐招提寺には天平文様の美しい花模様も観ることができます。

 

奈良 唐招提寺 奈良 唐招提寺

 

広い境内では季節の花や美しい苔の姿も楽しめます。

 

奈良 唐招提寺 奈良 唐招提寺

 

■薬師寺

 

唐招提寺から歩いて10分ほどのところに薬師寺があります。唐から持ち込まれた技術を用いて、それまでの時代よりもスケールの大きな寺院が建築されました。薬師寺でも見事な金堂、東塔・西塔など、広い敷地にいくつもの建物があります。東塔は創建当時のまま、1300年の時を経て現存している貴重な建物です。

もちろん建物だけでなく、薬師三尊像などの国宝もあり、じっくり見ているとあっという間に2時間が過ぎます。ここは余裕をもっていくことがおすすめです。

 

奈良 薬師寺 奈良 薬師寺

 

時間があれば、少し離れたところから薬師寺の二つの塔の美しさを楽しんではいかがですか。

1300年前の奈良の時代には、こんな風に薬師寺が見えていたのかなと、歴史に思いをはせる時間もいいものです。

 

奈良 薬師寺

 

 

■東大寺

”奈良”と聞いて思い浮かぶ奈良の大仏。この奈良の大仏が鎮座するのが東大寺です。1300年前、疫病が流行っていた奈良の都で、世の中の安寧を願って聖武天皇が建立を決めたのが奈良の大仏こと廬舎那仏像でした。現存するブロンズ像で、世界最大です。近づくほどその大きさに驚き、当時の技術でよくこの大きさの大仏を造ったものだと当時の人力にまた驚きます。

 

大仏殿は二度の戦火あい焼失しますが、江戸時代になって、雨ざらしの大仏を見かねた僧の公慶が大仏殿の再建を勧進しました。今でも参拝者は途切れることなく、人々を引き付ける奈良を象徴する大仏です。

 

奈良 東大寺 奈良 東大寺

 

■興福寺

藤原氏の氏寺として、平城宮への遷都とともに飛鳥から移転された興福寺は、藤原氏の繫栄とともに、奈良時代初期には隆盛を極めていました。五重塔や北円堂は国宝に指定されています。

中金堂の四天王像や釈迦如来像、薬王・薬上菩薩像は見応えがあり、国宝館に収められている阿修羅像は繊細な造りに当時の技術の高さと信仰心を感じます。

 

奈良 興福寺 奈良 興福寺

 

■元興寺

蘇我馬子が建立したといわれる、日本最初の本格的伽藍である法興寺(飛鳥寺)が平城遷都にともない、新築移転されたのが、元興寺です。

ここには飛鳥時代に法興寺(飛鳥寺)で使われていた1400年前の瓦が、雨風に耐え、今も残っています。ところどころに見えるオレンジ色の瓦です。1400年前の瓦が今も建物を守っています。

 

奈良 元興寺 奈良 元興寺

 

 

かつて都のあった奈良は、街を歩けば教科書で習った歴史に出会う場所です。今は当時のような「勉強」としてではなく、歴史に触れることが楽しいと思えるようになりました。

京都よりも一つ古い時代の京、奈良は、どこにいても歴史を感じられる街です。

 

奈良